大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和26(れ)2416 判決

主 文

原判決を破棄する。

本件を東京高等裁判所に差戻す。

理 由

弁護人大月和男の上告趣意第一点について。

原判決は、有罪を認定した事実の摘示及び証拠の説明にあたつて、すべて第一審

判決の事実摘示及び証拠を引用している。すなわち、その証拠とするところは、第

一審公判調書中の被告人の供述記載、被告人に対する検察官の聴取書、同人に対す

る司法警察官の訊問調書及び聴取書並びにAに対する司法警察官の聴取書がこれで

ある。しかるに、Aに対する司法警察官の聴取書の内容は、事実摘示第一の(一)、

(二)に関しては何等触れろることがないから、右事実に対応する証拠としては、

結局前掲第一審公判調書中の被告人の自白、その他原審公判廷以外における被告人

の自白のみをもつて有罪を認定したこととなる。

而して憲法三八条第三項の自白のうちには、公判廷における被告人の自白はこれ

を含まないと解すべきことは、当裁判所の判例とするところである(昭和二三年(

れ)第一六八号、同年七月二九日大法廷判決)が、右判例に示す「公判廷における

被告人の自白」とは、その自白を断罪の証拠に採つたその裁判所の公判廷における

被告人の自白を指し、右裁判所以外の裁判所の公判廷における被告人の自白を包含

する趣旨でないこともまた当裁判所の判例とするところである。(昭和二三年(れ)

第四五四号、同二四年四月六日大法廷判決)

されば、所論の第一審裁判所における被告人の自白等のみを採つて有罪の認定を

した原判決は、正に所論の如く憲法三八条第三項(及び刑訴応急措置法一〇条第三

項)違反の判決であつて、この点に関する論旨は理由がある。而して右の違反は事

実の確定に影響を及ぼすべきものであるから、他の論旨に対する判断を省略し、刑

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訴施行法二条、三条の二、刑訴法四一〇条、旧刑訴法四四八条の二に従い、主文の

とおり判決する。

この判決は、裁判官全員一致の意見である。

検察官 浜田龍信出席

昭和二七年五月二三日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 霜 山 精 一

裁判官 栗 山 茂

裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 谷 村 唯 一 郎

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